札幌障害年金相談センターの米田です。今回紹介「障害年金」の請求事例は、「広汎性発達障害」を抱えた方の事例です。

大人になってから発達障害であることが判明した場合は、この「広汎性発達障害」ではないでしょうか。未成年のときは、それほど目立つような症状がなかったけど、成人になるにつれて症状が目立つようになって来ます。

広汎性発達障害とは

請求事例に入る前に、「広汎性発達障害」について簡単に説明をしたいと思います。

広汎性発達障害とは、対人関係の困難、パターン化した行動や強いこだわりの症状がみられる障害の総称です。脳の機能障害を原因とする先天性のものですが、大人になってから症状に気づく場合もあります。

広汎性発達障害と自閉症スペクトラム障害の違いって?精神疾患の診断基準として、国際的に広く用いられているのがアメリカ精神医学会が発行しているマニュアル『DSM』です。

2000年に刊行された『DSM-IV-TR』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第4テキスト改訂版)では、自閉症障害、レット障害、小児期崩壊性障害、アスペルガー障害、特定不能の広汎性発達障害の5項目を「広汎性発達障害」と分類していましたが、2013年に改訂された『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)では、広汎性発達障害の分類がなくなり、「自閉症スペクトラム障害/自閉スペクトラム症」という診断名に統合されました(レット障害をのぞく)。

広汎性発達障害に含まれる障害のうちのどれに該当するのか明確な判断が難しいことから1つにまとめられたものであり、広汎性発達障害と自閉症スペクトラム障害はほぼ同義であるといえます。

ただ、細かい部分の定義においては、

・「診断時期が3歳以前であること」という前提がなくなった

・「対人関係の障害」「コミュニケーションの障害」「こだわり、興味のかたより」という3つの症状で説明されていた特徴が、「対人関係およびコミュニケーションの障害」「こだわり、興味のかたより」といった2つの特徴によって説明されるようになった、

という違いがあります。

引用元:広汎性発達障害とは?自閉症スペクトラムとの違い、原因と症状、診断、受けられる支援を紹介します。

 

「広汎性発達障害」の請求事例

それでは「広汎性発達障害」を抱えるKYさんに関する請求事例を紹介したいと思います。

幼少期に成長の遅れを指摘を受ける

「広汎性発達障害」を抱えるKYさんは、言葉を発するのが遅かったそうです。そして、三歳児健診の際でも言葉が遅かったため、保健師から「もしかしたら普通の小学校に行けるかどうかわからない」と指摘されていました。

小学校・中学校では目立った症状がなかった

小中と特段異常なく、普通科に通学しましたが、当初から学校には馴染めていなかったようです。

高校生から症状が・・・

高校生の頃より、記憶力の低下や判断力の欠如を自覚し始め、対人トラブルも有り、大学時には集中力が持続せず、判断力の低下・言いたいことが言えない等の症状が持続したため、精神科を受診したところ、「広汎性発達障害」と診断されました。

障害年金の手続きを

社会適応の困難さが際立つようにもなり、また予後も現状では多くを期待できない症状となってしまいました。

就労はできないとの主治医の判断もあり、「障害年金」の手続きを親御さんとご相談の上されることになり、当センターにご依頼を頂きました。

ご本人及び御親族とも日常生活状況の聞取りをしつつ、主治医に診断書を作成していただき、結果、障害年金2級に認定されました。

普段の診察のときには、日常生活状況を詳しく聞取りすることができないので、当センターで聞取りをして頂いて大変助かりましたとのお言葉も頂けました。

「広汎性発達障害」の「障害年金」の障害認定基準

発達障害の障害認定基準

(1)発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものをいう。

(2)発達障害については、たとえ知能指数が高くても社会活動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うこ<とができないために日常生活に著しい制限を受けることを着目して認定を行う。また、発達障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。

(3)発達障害は、通常低年齢で発症する疾患であるが、知的障害が伴わない者が発達障害の症状により、初めて受診した日が20歳以降であった場合は、当該受診日を初診日とする。

(4)各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。

障害等級1級:発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの

障害等級2級:発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの

障害等級3級:発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しく制限を受けるもの

(5)日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮のうえ、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める

(6)就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、雇用契約により一般就労をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事している。したがって、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。

引用元:精神の障害認定基準

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