心臓の障害(循環器障害)の障害認定基準

心疾患による障害は、弁疾患、心筋疾患、虚血性心疾患、難治性不整脈、大動脈疾患、先天性心疾患に区分されています。 ここでは、弁疾患と心筋疾患について1級~3級が決まる基準の説明いたします。

弁疾患

1級 ・病状(障害)が重篤で安静時においても、心不全の症状(NYHA心機能分類Ⅳ)を有し、かつ、2Mets未満に該当するもの
2級

・人工弁を装着術後、6ヶ月以上経過しているが、なお病状をあらわす臨床所見が5つ以上、かつ、異常検査所見が1つ以上あり、かつ、2~4Metsに該当するもの

・異常検査所見のA、B、C、D、E、Gのうち2 つ以上の所見、かつ、病 状をあらわす臨床所見が5 つ以上ある。かつ、下記(1)または(2)に該当するもの。

(1)歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、 軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの

(2)身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの

3級 ・人工弁を装着したもの 異常検査所見のA、B、C、D、E、Gのうち1 つ以上の所見、かつ、病 状をあらわす臨床所見が2 つ以上あり、かつ、下記(1)または(2)に該当するもの。

(1)軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業は できるもの 例えば、軽い家事、事務など

(2)歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、 軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの

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※Metsとは、座位姿勢時に必要な酸素摂取量を1Metsとし、日常生活の活動がどの程度心臓に負担がかかるのかを判断するための、身体活動や運動強度の指標のことです。たとえば、平地歩行は3 Mets、入浴は4~5 Mets、階段昇りは6Metsになります。

心筋疾患の障害認定基準

1級 ・病状(障害)が重篤で安静時においても、心不全の症状(NYHA心機能分類Ⅳ)を有し、かつ、2Mets未満に該当するもの
2級

・異常検査所見の左室駆出率(EF)40%以下かつ、病状をあらわす臨床所見が5つ以上あり、かつ、2~4Metsに該当するもの かつ、下記(1)または(2)に該当するもの。

(1)歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、 軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの

(2)身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中 の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの

3級 ・EF値が50%以下を示し、病状をあらわす臨床所見が2つ以上あり、かつ、一般状態区分表の3~6Metsに該当するもの 異常検査所見のA、B、C、D、E、Gのうち1 つ以上の所見、かつ、病 状をあらわす臨床所見が2 つ以上あり、かつ、下記(1)または(2)に該当するもの。

(1)軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業は できるもの 例えば、軽い家事、事務など

(2)歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、 軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの

※臨床所見(診断書では「無」・「有」) 自覚症状 動悸,呼吸困難,息切れ,胸痛,咳,痰,失神、他覚所見 チアノーゼ,浮腫,頸静脈怒張,ばち状指,尿量減少,器質的雑音

虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)の障害認定基準

1級 ・病状(障害)が重篤で安静時においても、常時心不全あるいは狭心症を有し、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの
2級

・異常検査所見が2つ以上、かつ、軽労作で心不全あるいは狭心症などの症状をあらわし、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの

3級 ・異常検査所見が1つ以上、かつ、心不全あるいは狭心症などの症状が1つ以上あるもので、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの

※ 冠動脈疾患とは、主要冠動脈に少なくとも1か所の有意狭窄をもちます。あるいは、冠攣縮が証明されたものを言い、冠動脈造影が施行されていなくとも心電図、心エコー図、核医学検査等で明らかに冠動脈疾患と考えられるものも含みます。

難治性不整脈の障害認定基準

1級 ・病状(障害)が重篤で安静時においても、常時心不全の症状(NYHA心機能分類Ⅳ)を有し、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの
2級

・異常検査所見のEがあり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの

・異常検査所見のA,B、C、D、F、Gのうち2つ以上の所見及び病状をあらわす臨時所見が5つ以上あり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの

3級

・ペースメーカー、ICDを装着したもの

・異常検査所見のA、B、C、D、F、Gのうち1つ以上の所見及び病状をあらわす臨時所見が1つ以上あり、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの

※ 難治性不整脈とは、放置すると心不全や突然死を引き起こす危険性の高い不整脈で、適切な治療を受けているにも拘わらず、それが改善しないものをいう。

※ 心房細動は、一般に加齢とともに漸増する不整脈であり、それのみでは認定の対象となりませんが、心不全を合併したり、ペースメーカーの装着を要する場合にには認定の対象となります。

大動脈疾患の障害認定基準

3級

・胸部大動脈解離(Stanford分類A型・B型)や胸部大動脈瘤により、人工血管を挿入し、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの

・胸部大動脈解離や胸部大動脈瘤に、難治性の高血圧を合併したもの

※ Stanford分類A型:上行大動脈に解離があるもの。

  Stanford分類B型:上行大動脈まで解離が及んでいないもの。

※ 大動脈瘤とは、大動脈の一部がのう状または紡錘状に拡張した状態で、先天性大動脈疾患や動脈硬化(アテローム硬化)、膠原病などが原因となります。これのみでは認定の対象とはなりませんが、原疾患の活動性や手術による合併症が見られる場合には、総合的に判断されます。

※ 胸部大動脈瘤は、胸腹部大動脈瘤も含まれます。

※ 難治性高血圧とは、塩分制限などの生活習慣の修正を行った上で、適切な薬剤3薬以上の降圧薬を適切な用量で継続投与しても、なお、収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上のものをいいます。

※ 大動脈疾患では、特殊な例を除いて心不全を呈することはなく、また最近の医学の進歩にもかかわらず、完全治癒を望める疾患ではありません。従って、一般的に1・2級には該当しませんが、本傷病に関連した合併症(周辺臓器への圧迫症状 など)の程度や手術の後遺症によっては、更に上位等級に該当する場合があります。

※ 大動脈瘤:嚢状(のうじょう)のものは大きさを問わず、紡錘状のものは、正常時(2.5~3cm)の1.5倍以上のものを指します。(2倍以上のものは手術が必要と言われてします。)

※ 人工血管にはステントグラフトも含まれます。

先天性心疾患の障害認定基準

1級 ・病状(障害)が重篤で安静時においても、常時心不全の症状(HYHA心機能分類クラスⅣ)を有し、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの
2級

・異常検査所見が2つ以上及び病状をあらわす臨床所見が5つ以上あり、かつ、一般状態区分表のウ又は エに該当するもの

・Eisenmenger化(手術不可能な逆流状況が発生)を起こしているもので、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの

3級

・異常検査所見のC、D、Eのうち1つ以上の所見及び病状をあらわす臨床所見が1つ以上あり、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの

・肺体血流比1.5以上の左右短絡又は肺動脈収縮気圧50mmHg以上のもので、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの

重症心不全

心臓移植や人工心臓等を装着した場合の障害等級は、次の通りとなっています。但し、術後は次の障害等級に認定されますが、1~2年程度経過観察した上で症状が安定しているときは、臨床症状、検査成績、一般状態区分表を勘案し、障害等級を再認定されます。

・ 心臓移植 ⇒ 1級

・ 人工心臓 ⇒ 1級

・ CRT(心臓再同期医療機器)及びCRT-D(除細動器機能付き心臓再同期医療機器) ⇒ 2級

下記に心疾患の検査での異常検査所見を一部示す

区分

異 常 検 査 所 見

安静時の心電図において、0.2mV以上のSTの低下もしくは0.5mV以上の

深い陰性T波(aVR誘導を除く。)の所見のあるもの

負荷心電図(6Mets 未満相当)等で明らかな心筋虚血所見があるもの

 

胸部X線上で心胸郭係数60%以上又は明らかな肺静脈性うっ血所見や間質性

肺水腫のあるもの

心エコー図で中等度以上の左室肥大と心拡大、弁膜症、収縮能の低下、拡張能の制限、先天性異常のあるもの

心電図で、重症な頻脈性又は徐脈性不整脈所見のあるもの

左室駆出率(EF)40%以下のもの

BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)が200pg/ml 相当を超えるもの

重症冠動脈狭窄病変で左主幹部に50%以上の狭窄、あるいは、3 本の主要冠

動脈に75%以上の狭窄を認めるもの

心電図で陳旧性心筋梗塞所見があり、かつ、今日まで狭心症状を有するもの

★心エコー検査  左室拡張期径:正常値 40~56mm /  左室収縮期径:正常値 20~38mm

≪異常検査所見≫循環器疾患用の診断書 

異常所見

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