札幌障害年金相談センターでお受けしている「障害年金」のご相談の中で、一番多い障害は「精神疾患」です。その中でも「双極性障害(躁うつ病)」の方からのご相談がとても多いです。そこで、今までの経験を通して「障害年金」の申請ポイントをまとめましたので皆さまの少しでもお役に立てれば幸甚です。また、御相談等あればお気軽にお問合せ下さい。

「双極性障害(躁うつ病)」とは

双極性障害は、そう状態または軽躁状態とうつ状態とを反復する精神疾患です。“躁うつ病”と呼称される場合もありますが、うつ病とは別の病気です。激しい躁状態を伴う場合を“双極I型障害”、生活に著しい支障がない程度の軽躁状態(軽度の躁状態)を伴う場合を“双極II型障害”といいます。躁状態あるいは軽躁状態のときは自身が病気であることに気付けない場合もあり、うつ状態だけが注目されがちであるため、双極性障害でありながらうつ病と診断されてしまう人も少なくありません。躁状態による問題行動や、うつ状態による抑うつ気分・何をしても楽しいと思えない状態により社会生活に支障が生じることもあるほか、自殺率が高いことも知られています。主に20歳代で発症することが多く、有病率は1%程度で頻度に性差はないといわれています。

引用元:双極性障害/medicainote

障害年金制度上、「双極性障害(躁うつ病)」の「初診日」はいつの時点?

1,「双極性障害(躁うつ病)」の「初診日」の特定について

相談者のお話しの多くは、最初に心療内科や精神科を受診しないしてことが多いです。

双極性障害(躁うつ病)の初期症状の段階で、精神科に通院することに抵抗を感じる方は少なくありません。その為、内科で診て貰えるのであれば、との思いから精神科ではなく、通院し慣れている内科で診て貰っていけるケースを散見しています。

相談者からは「〇〇病と診断を受けたのは〇〇〇病院です」等、うつ病に限らず診断を受けた日が「初診日」とお考えになりがちですが、決して病名の診断を受けた日が「初診日」ではありませんのでご留意ください。

例えば、内科にうつ病でない他の病気で通院している過程で不眠を訴える場合、「不眠」を訴えて診て貰った日が「初診日」となる場合もあります。

2,「初診日」の証明について

ここで注意すべき点は、「障害年金制度」において、「初診日」がとても重要であり、尚且つ「初診日」の証明をする必要があることです。

初診日」の証明するには、原則医療機関に作成して貰った「受診状況等証明書」で行います。

但し、医療機関のカルテ保存義務があるのが5年間なので、終診日が5年を経過しているとカルテが破棄されていることがあり、その場合、「受診状況等証明書」を医療機関で作成して貰うことができません。この場合、他の手段で「初診日」の証明をすることになります。

《参考資料》

【障害年金】を請求する時は、「初診日を証明する書類」はどのようなものを添付すれば良いの?

「双極性障害(躁うつ病)」の障害認定基準(抜粋)

「双極性障害(躁うつ病)」の認定基準を紹介します。

1,「双極性障害(躁うつ病)」は、本来、症状の著明な時期と症状の消失する時期を繰り返すものである。したがって、現症のみによって認定することは不十分であり、症状の経過及びそれによる日常生活活動等の状態を十分考慮する。

2,日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。また、現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。

1級「双極性障害(躁うつ病)」によるものにあっては、高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
2級「双極性障害(躁うつ病)」によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
3級「双極性障害(躁うつ病)」によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの

働いていると「障害年金」は受給できない?

当センターのご相談で「働いていると障害年金は貰えないのでしょうか?」とご質問される方がいらっしゃいます。

1,働きながらでも受給できる「障害年金」

上記表の3級の欄をご覧になって頂けるとお解りのように「~労働に制限を受けるもの」とあります。つまり、「双極性障害(躁うつ病)」の症状によって発病前ならできた作業や業務が出来なくなって、簡単な作業しかできなくなった等「制限」を受けるけど、制限を受けながらでも働ける場合です。

まず、障害等級3級の場合は、働きながらでも「障害年金」を受給することができます。

2,働いていると「障害等級」の認定に影響を受ける?

働いていると「障害等級」に影響があるかないか?とのご質問をお受けすることがありますが、結論から言うと「影響します」。極端な話、診断書としては障害等級2級相当でも、短時間でも働いていると障害等級3級と認定されるケースもあります。

3,働いていると障害等級2級の認定は受けられない?

「働いていると障害等級2級の認定は受けられないか?」とご質問をお受けすることがありますが、原則は「受けられない」ことが一般的です。

実際に、障害等級2級相当の診断書で、尚かつ短時間でも勤務をしている場合、「双極性障害(躁うつ病)」の障害等級2級相当の病状ですので、ほとんど勤務らしい勤務が出来ていないと思われるからです。

もしそのような状況が本当にあるとしたら、特別な状況下にあると思いますので、個別にご相談をして頂けたらと思います。お問合せフォームは、こちらです。

「障害年金」申請のポイント

「双極性障害(躁うつ病)」で「障害年金」を申請しようとする場合、下記の2つが申請ポイントとなります。

1,診断書の評価

(1)医療機関に作成して貰う診断書は、「障害年金」用の診断書になります。書式はこちら(一番下の方)です。

(2)この診断書は、「障害年金」自体の支給決定の有無のみならず、障害等級の決定に大きな影響があります。

(3)診断書のポイントは、日常生活能力の評価がより正しく評価を受けているかどうかです。

これは「正しく評価をしてくれて当たり前ですよ」と思われがちですが、当センターでお受けしている案件で「主治医の評価」と「ご本人及びご親族の評価」が一致しないことが非常に多いことをお伝えさせて頂きます。

診断書の日常生活能力の評価を受ける際の問題点

①普段の診察時間は、一般的にごく短時間で終わっています。そのような短時間での診察では、この診断書の項目自体は記載がきないことが多いのではないでしょうか。

病状で特に問題になりやすい「金銭管理」については、主治医は把握していると思いますが、食事やお部屋等の掃除等日常生活能力についての項目をご覧になって頂けると、普段の診察では会話に上がっていない項目があるのではないでしょうか。

②診断書作成にあたって主治医が、作成の為の時間を設けて聞取りをしてくれるケースがあります。ここで問題になりやすいのが、主治医の質問に対して、ご本人が簡単な回答しかしないことがが多いことです。

例えば、主治医「ちゃんとご飯食べれていますか」、患者「はい」というような場合です。

何が問題かというと、主治医がイメージしている「ちゃんと」と患者が考えている「ちゃんと」が一致していない場合があるからです。

「(おそらく先生は、1日3食、少なくても1日2食を食べていますか、と聞いていらっしゃるのだろうけど、1日1食だったり、食べないときがあったとしても私的には問題ないので)はい」と回答されている場合があります。

そこで、主治医が一歩踏み込んだ問いかけをして頂きたいところですが、そこで質問が終ってしまことが多いようです。

③診断書の評価を納得し得るものとするには、普段の診察になるべく自身の病状についてお伝えしていくことが必要と思われます。

2,病歴・就労状況等証明書の作成

(1)診断書は第三者である医療機関が作成しますが、「障害年金」を請求するご本人が自身の病状を訴える書類があります。それが 「病歴・就労状況等申立書」 です。ですので、この 「病歴・就労状況等申立書」 はご本人が作成します。

(2)この「病歴・就労状況等申立書」は、発症時から現在に至るまでの病歴などを記載する書類となっています。

(3) 「病歴・就労状況等申立書」 の作成ポイントは、主観的に記載しないことです。

例えば、「~辛かった」ことを表現したい場合、「どう辛かった」のか、それが「双極性障害(躁うつ病)」の症状にどう関係があるのか等を第三者に理解できるように具体的に記載して下さい。

病歴が長い方に関しては、記憶が曖昧になっていることが多いので、ご親族等と確認しながら作成すると良いと思います。

まとめ

以上が、簡単ですが「双極性障害(躁うつ病)」で「障害年金」を申請するポイントとなります。もしご不明な点等がありましたらご遠慮なくお問合せ下さい。

最後読んで頂きまして大変にありがとうございました。

《問合せ》は

★ 障害年金受給診断は無料で行なっております。

少しでも障害年金に該当する可能性があると思いになった方は専門家による障害年金受給診断チェックを申し込まれることをお勧めします。

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