CEA(癌胎児性抗原)

正常組織(皮膚,食道,胃,大腸,胆のう,胆管,膵,乳腺,肺胞,気管支,甲状腺および尿管)でもCEAを発現しているが,血中や体液中に移行する量はきわめて少ない.しかし,癌細胞ではCEAの産生が高まり,血清CEA値も病期を反映して上昇する.また,炎症や再生部位からも血中に放出されるため,癌の脈管浸潤や肝転移がある場合には著増する.ただし,リンパ管侵襲の場合はCEAの陽性率に影響しないと考えられている。

CEAは,健常者や良性疾患患者でも陽性となる場合があるため,スクリーニング検査には必ずしも適していない.そのため,ハイリスク患者における癌の早期発見,進展度の判定,治療(手術や化学療法)効果のモニタリングや,再発の予知に利用されることが多い

基準値・異常値

基準範囲:2.5ng/ml以下

高値

10ng/ml以上:結腸癌,直腸癌,転移性肝癌,膵癌,胆道癌,肺癌,胃癌,食道癌,乳癌,子宮癌,卵巣癌,泌尿器癌,甲状腺髄様癌,腹膜偽粘液腫

2.5~10ng/ml:結腸癌,直腸癌,転移性肝癌,膵癌,胆道癌,肺癌,胃癌,食道癌,乳癌,子宮癌,卵巣癌,泌尿器癌,甲状腺髄様癌,腹膜偽粘液腫,肝硬変,肝炎,閉塞性黄疸,膵炎,潰瘍性大腸炎,胃潰瘍,糖尿病,膠原病,慢性肺疾患,甲状腺機能低下症,腎不全,加齢,喫煙

次に必要な検査10ng/ml以上:消化器癌や転移性肝癌,次に胆,膵,肺,乳腺および甲状腺癌の順に精密検査をする.癌が発見できないときは,1~2ヵ月後に再検査を行い,測定値の上昇の有無と程度を調べる.また,他の腫瘍マーカーを同時に測定すると,原発臓器を見極めるうえで参考となる.

2.5~10ng/ml:高値のときと同様に,癌の精査と良性疾患の除外を行う.

変動要因

CEA測定キット間で使用する抗体が異なり,CEA関連抗原に対する交叉反応性の違いから,測定値が異なる場合がある.

閉塞性黄疸による血中への逸脱,肝機能障害によるCEA代謝の低下,炎症性疾患の程度や喫煙の有無を検討する.

引用元:癌胎児性抗原