【2】労働基準法の給付との併給調整

私の夫は、2年前に左足を切断し2級の障害基礎年金の受給権を取得しましたが、同時に労働基準法の障害補償を受けられたため、全額支給停止されています。ところが、今度は内臓疾患のため、日常の用は自分でできますが、働くことができなくなりました。このまま治らなければ、新たに障害基礎年金が支給されますか。

障害基礎年金の受給権者に対して、さらに障害基礎年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害基礎年金が支給され、従前の障害基礎年金の受給権は消滅します。たとえば、左足を失ったため2級の障害基礎年金を受けていた人が、別の事故によって右足を失った場合には、全体として見れば右足と左足とを失ったことになり、1級の障害基礎年金が支給されます。しかし、業務上の傷病に起因する障害について労働基準法第77条の規定による障害補償が行われる場合には、障害基礎年金は6年間支給が停止されることになっています。以下、併合認定による障害基礎年金とこの労働基準法第77条の規定による支給停止との関係を説明します。

(1)従前の障害基礎年金が支給停止されている間に、さらに障害基礎年金を支給すべき事由が生じたときは、併合認定による障害基礎年金は、従前の障害基礎年金の支給停止期間中は支給停止され、その間、従前の障害を併合しない障害による障害基礎年金が支給されます。

(2)(1)とは逆に、後の方の障害について労働基準法による障害補償を受ける場合には、併合認定による障害基礎年金は支給停止され、その支給停止期間中は、従前の障害基礎年金が支給されます。あなたの場合は、あなたの夫の内臓疾患による障害の程度が2級以上に該当した場合は(1)のケースに該当します。すなわち前後の障害を併合すれば、1級の障害基礎年金に該当しますが、併合認定による障害基礎年金は、前発の2級の障害基礎年金(左足切断)が支給停止されている間は停止されますので、その間、あなたの夫には後発の内臓疾患による2級の障害基礎年金が支給されます。(障害給付Q&Aより)