社会的治癒

 社会的治癒とは、「医学的」な治癒と言えなくても、社会保険制度としては、前の傷病と後の傷病を分ける考え方です。

 前の傷病から数年経過(精神の場合は概ね5年、傷病によっては10年以上)して再発した場合でも、それまで特段の療養もなく通常の日常生活を送れていた(社会復帰していた)場合、再発後に受診した日を障害年金の初診日とする考え方です。

 あくまでも通常の日常生活が送れていたことが前提なので、「病院に行きたかったのに、お金が無くて行けなかった」、「社会生活を送れていても、医師の管理化で薬を処方されている」 等の場合は社会的治癒に該当しません。

※精神の障害については、薬の内容と生活状態により、投薬がほぼ消滅したとみられる症状を維持する寛解と判断できる場合には、社会的治癒が認められた事例もあります。

 医学的には治癒していない(同一傷病である)ことを前提としているので、主治医の医学的見地から判断すると、前と後ろとを別々に考えることはしません。あくまでも社会保険独自の考え方です。

 この「社会的治癒」という考えは、社会保険審査会が「被保険者(請求者)を救済する趣旨で考案されたもの」と明言しているので、決して不正請求ではありません。