札幌障害年金相談センターに寄せられるご相談には多数の案件があります。そのご相談案件に出て来る「医学用語」を「障害年金」に実務に沿った内容で解説をします。皆さまのご参考にして頂けたらと思います。

「肩腱板損傷」 とは

概要

肩腱板損傷かたけんばんそんしょうとは、肩関節の安定性をもたらす腱板に断裂などの損傷が生じた状態です。肩腱板損傷が生じると、肩の痛みや肩関節の運動障害などを呈するようになります。

腱板損傷は外傷を契機に発生することもありますが、明らかな外傷歴がなくても、長年の疲労や負荷などの積み重ねにより肩腱板損傷を発症することがあります。肩腱板損傷は50歳以上の男性、特に右肩で発症することが多いといわれています。

肩腱板損傷の治療は、肩関節の安静、痛み止めの使用、理学療法など保存的治療が中心となります。しかし、これらを実施しても効果が見られない場合には、手術的治療が検討されます。

原因

肩関節の前側には鎖骨、後側には肩甲骨があります。肩甲骨には、上腕骨頭(上腕骨の頭)が収まる関節窩があり、これらが軟骨によってつながっているため、腕を上げる・下げる・回すなど複雑な動きができます。

しかし肩関節は骨同士が接する面積が非常に狭いため、受け皿から上腕骨頭がずれて脱臼しやすいなどの不安定さも抱えています。こうした弱点を補うため、肩関節周辺にはインナーマッスル(腱板)・関節包や靭帯・関節唇かんせつしんといった様々な軟部組織が存在しています。肩腱板損傷とは、肩関節を支える周辺組織が損傷した状態のことです。

インナーマッスルは、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋と呼ばれる筋肉が合わさっていて、関節組織を3方向から支えています。肩腱板損傷を最も起こしやすいのは、肩甲骨の一部である肩峰の下にある肩峰下腔に位置する棘上筋です。

肩腱板損傷は肩を何度も動かすことで、損傷部と肩峰の間に衝突現象が生じ、損傷が進みます。そのため、ケガやスポーツなどによる外傷が引き金となることもありますが、スポーツ選手や職人など長年の肩の酷使、加齢などが原因で肩腱板損傷を発症することもあります。

症状

肩腱板損傷が生じると、腕を上げたり下げたりする動作に伴い肩の痛みを自覚するようになります。また炎症が強い場合には安静時や夜間就寝中にも痛みが生じることもあります。こうした肩の痛みは日常動作に関連したちょっとした動作でも誘発されることがあり、テーブルの遠くのものが取れない、髪の毛をブラシでとかせないなど支障が生じることもあります。断裂のサイズが大きくなると筋力低下が生じ、挙上障害も出現することがあります。

引用元:肩腱板損傷

「障害年金」の障害認定基準について

「肩腱板損傷」 で考えられる障害は、発症した肩の「関節可動域の制限」及び「筋肉の低下」、そして「痛み」です。

1, 「関節可動域の制限」及び「筋肉の低下」

上肢の三大関節(肩、肘ひじ、手首)がありますが、 「肩腱板損傷」 によって「肩」以外にも何かしら症状が出たことは想定しないで記載しますので御了承下さい。

まず、上肢の障害認定基準の内、指に関するもの以外を列記します。

障害等級2級両上肢の3大関節中それぞれ2関節以上の関節が全く用を廃したもの
一上肢の用を全く廃したもの
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
障害等級3級一上肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
上腕骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの
2関節の用を廃したもの
身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの(例えば、一上肢の3大関節中1関節の筋力が半減しているもの)

「肩腱板損傷」が、左右どちらかの肩のみに発症した場合左右両方同時に発症する場合が想定されます。

ケースとしては、 左右どちらかの肩のみに発症した場合 が多いと思われますので、こちらについて検討していきたいと思います。

上表を障害等級2級の欄をご覧頂くと、二つ以上の関節に障害があることが概ね示唆されています。

では、障害等級3級の欄を見てみると、同様のことは記載されているのがお解りだと思います。

但し、最後の3級7号8「 身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの(例えば、一上肢の3大関節中1関節の筋力が半減しているもの) 」は、検討の余地が十分あります。

※「初診日」時点で厚生年金保険及び共済組合に該当していない場合は、障害等級3級に該当する程度の障害であったとしても、「障害年金」は支給されません(「障害基礎年金」には障害等級2級までしか支給されない為)のでご注意下さい。

2,「痛み」→「神経系統の障害」

「痛み 」(神経系統の障害) に関わる障害認定基準は、下記の通りです。

(1)疼痛は、原則として認定の対象となりません。

(2)四肢その他の神経の損傷によって生じたる灼熱痛、脳神経及び脊髄神経の外傷その他の原因による神経痛、根性疼痛、悪性新生物に随伴する疼痛等は、疼痛発作の頻度、強さ、持続時間、疼痛の原因となる他覚的所見等(本人ではなく医師や医療従事者が診た所見)により、次のように取り扱う。

 ア、軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のものは、3級に認定される。

 イ、一般的な労働能力は残存しているが、疼痛により時に労働に従事することができなくなり、就労可能な職種範囲が相当な程度に制限されるものは、障害手当金として認定される。

3,併合認定

「障害年金」の障害等級は、 「関節可動域の制限」及び「筋肉の低下」 と 「神経系統の障害」 の両方を障害の程度を合わせて判断されることになります。

障害等級3級7号同志だと、障害等級3級6号になるだけなので、障害等級3級であることには変わらないことがあります。

「肩腱板損傷」による「障害年金」の申請ポイント

1「関節可動域の制限」及び「筋肉の低下」 と 2 「神経系統の障害」 の各々で障害等級3級相当と判断される障害であるかどうかです。

 ① 「関節可動域の制限 」の目安は、関節可動域が2分1以下かどうか

 ②「筋肉の低下」の目安は、半減以下かどうか

 ③「神経系統の障害」の場合は他覚所見で「痛み」を把握して貰えるかどうかが前提の上で、労働制限を必要をされるかどうか

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