札幌障害年金相談センターの米田です。

今、携わっているお客様の障害年金の請求業務について、改めて社会保険労務士が携わっていて良かったと思える場面があったので紹介させて頂きます。

お客様が抱えている傷病は「糖尿病」です。一般的な社会保険労務士が行っている作業を絡めて説明をしていきたいと思いますのでご了承下さい。

障害年金の診断書について

糖尿病に関する診断書は、「腎疾患・肝疾患糖尿病の障害用」(様式第120」号の6ー(2))を使用します。

一般的に、社会保険労務士が行う作業としては下記の通りです。

(1)診断書への「記載漏れ」のチェック

診断書への「記載漏れ」には、下記の二通りがあります。

①単純な「記載漏れ」

②診療科が異なる場合に発生する「記載漏れ」

では、各々を見ていきたいと思います。

①単純な記載漏れ

主治医が作成して下さった診断書に「記載漏れ」がある可能性もあるので、「記載漏れ」のチェックします。

これは単純に「記載漏れ」される場合もあれば、そもそも「記載すべきなの?」と考えて、結局記載をしていなかい場合もあります。

医療機関によっては、主治医が診断書に記載をした上で、事務方が記載漏れのチェックをしている病院もありますが、その場合でも「記載漏れ」が発生することがあります。

②診療科が異なる場合に発生する「記載漏れ」

<記載ルール>

「腎疾患・肝疾患糖尿病の障害用」(様式第120」号の6ー(2)) の裏面には、合併症に関する記載があります。

箇所は(診断書の裏面の)「⑭糖尿病」欄の「5 合併症」欄。

そこには、「(1)眼の障害」、「(2)神経系統の障害」、「(3)肢体の障害」があれば、記載することになります。

※「腎疾患」に関しては、「⑫腎疾患」欄に記載することになるので、ここの欄には記載しません。但し、糖尿病の合併症である旨はその他所見欄等に記載する必要があります。

<紹介するケース>

今回紹介する案件では、糖尿病は内科で診て頂いていたので、合併症で「骨粗鬆症(こつそしょうしょう」についての記載がされていませんでした。

・ご本人様は、「骨粗鬆症」の為に今年2回、大腿骨骨折で入院をしています

・糖尿病を診て貰っている病院は総合病院なので、内科の他にも整形外科もある。でも入院の2回とも別病院にかかる。当然、入院をしているので、大腿骨骨折で入院していることは内科の主治医はご存知です。

これは単純な「記載漏れ」かと思い、病院に連絡をしてみると、「カルテに検査をしたとも書いていないので、「骨粗鬆症」の件は記載できません」と返答を頂きました。

内科だから、「骨粗鬆症」の検査はしていない、というのが理由のようです。

別病院で行った「骨粗鬆症」の検査結果は「骨密度は、0.573g/cm。同世代と比較した値は72%、若い人と比較した値は66%」、コメント欄には「要精密検査」とありました。

内科だから「骨粗鬆症」の検査をしていなかったと言うのは、少し無責任に感じます。そこで改めて「骨粗鬆症」の検査を行って判断ができれば、記載して頂けるように依頼をしました。

単純に「5 合併症」欄に「 骨粗鬆症 」と記載をして貰うだけでも、かなり力を入れないと話が進みませんでした。

(2)診断書への「追記依頼」

主治医が作成して下さった診断書「⑰予後」欄に「糖尿病の合併症が進行しており、腎臓機能の低下もみられることから~」と記載がありました。

「腎臓機能」がどの程度低下しているのか、 「⑫腎疾患」 に斜線があり何ら記載がありませんでした。

斜線が入っているのは、「糖尿病」と「腎疾患」が無関係の場合です。「糖尿病」で「障害年金」を請求する意向は伝えていますが、まさか診断書の「糖尿病」に関する欄だけ記載すれば良いとはお考えではないと思います。ですので、この箇所についても、「糖尿病」の合併症であることは上記記載にある通り明確なので「腎臓機能」の低下がどの程度であったとしても記載して頂けるように依頼をしました。

※考え方によっては、「障害年金」の障害等級に影響がないから記載していません、という場合もあるでしょうが、「糖尿病」と合併症によって既に4年以上勤務するできず、低血糖や骨折の日々を送っているご本人及びご親族からすると記載できるものは全て記載して貰って「障害年金」の手続きをしたいと考えています。また、そのこともご本人やごご親族からも聞いて確認をしていたので尚更でした。

(3)診断書の「訂正依頼」

主治医が作成した診断書「⑪一般状態区分表」欄の評価が、「イ 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの」に記しがありました。

ご本人は、ここ4年程どこにも勤務をしていません。

その理由は、最後の就職先で勤務中に何度も低血糖で倒れて救急搬送を繰返しており、継続して勤務をすることが困難と判断された、と伺っています。実母からは「あまりに救急搬送されるので、勤務先に申訳なさい、と思わないではいられない程・・・」と。

現在は4年前よりも症状が悪化しており、外出をする際は必ずご両親の内、誰か一人と一緒外出をしているとのこと、また自宅に居ても、ほとんど横になっている過ごしているそうです。

上記内容を踏まえて、主治医に御本人やご親族からもお話を伺って欲しい、その上でご再考して頂けないでしょうか、と依頼をしました。

(4)診断書自体の作成拒否

今回の案件では、「肢体の障害用の診断書」も作成依頼をしました。「低身長、短指症」に加えて、「骨粗鬆症」もあったからです。

①「障害年金」の障害等級に該当しないので作成拒否

内科で通院している病院が、総合病院だったので「診断書」の作成依頼をしましたが、「低身長、短指症」だけでは「障害年金」の障害等級には影響がないとのことで作成拒否されました。

ですが、上記で記載した通り「骨粗鬆症」も抱えており、転倒すれば大腿骨のような大きな骨でさえ骨折(年に2回)をしている現状では、転倒だけでなくぶつけただけでも骨折をする可能性が十分にあります。

それに「糖尿病」だけでなく、「糖尿病」からの合併症を含めて総合的に判断されますので、出来るだけの症状について添付した方が良いと判断します。

結局は、「大腿骨骨折」で入院をしている整形外科病院に「診断書」を作成して頂くことになりました。

②「認定日」が到来していないから作成拒否

上記①の通り、入院をしている整形外科に「障害年金」用の「診断書」の作成依頼をしましたが、病院から直接連絡があり、「 年金事務所に確認して、認定日が到来していないと解ったので主治医と相談して、診断書が作成できませんのでご了承下さい」と連絡がありました。

年金事務所で対応した職員のお名前を教えて頂き、直接その方とやり取りをしました。

どうやら、病院の事務担当者は、大腿骨骨折の「初診日」を下に年金事務所に確認をしたそうです。この確認の仕方だと、必ず年金事務所職員は「診断書はまだ書けません(まだ認定日が来ていないので「障害年金」は請求できません)」と回答します。

大腿骨骨折が、「糖尿病」の合併症である「骨粗鬆症」が原因です。この場合、「糖尿病」の「初診日」から1年6か月経過をしていれば問題ありません。

その旨を年金事務所職員に伝えたところ、「それではあれば問題ありません」と確認をした上で、直接やり取りをした病院の事務担当者に連絡をして頂けないかと依頼をしました。快く引き受けて下さって、後日同じ病院の事務担当者から診断書を作成します、と連絡を頂けました。

社会保険労務士に依頼をしないで、直接「障害年金」の手続きをしていたとしたら、「年金事務所に確認したら、障害年金を請求できないので診断書を書けません」と病院から言われてしまうと、そこから「診断書」の作成まで話は進められないことが多いのではないでしょうか。

まとめ

「障害年金」の請求手続きにおいて、診断書はとても重要な要素です。ですから、「障害年金」の請求を考えてご本人が少しでも納得のいく形でサポートをしたい、サポートをする、のが社会保険労務士の仕事だと思います。

主治医側にすると、小姑のように指摘をするので嫌な思いに感じられるかもしれませんが、これもお客様の為だと思って、なるべく不快に伝わらないように気を付けています。

主治医から記入漏れに対して「記載しません」と言われて、粘り強く記載を依頼することは患者側からすると相当な負担です。その負担を肩代わりする役も社会保険労務士だと思います。

今回の案件を通して、改めて「障害年金」の請求サポートをする仕事に誇りを持てました。

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